Q195★食品を塩漬けや砂糖漬け、薫製や日干しをすると生の状態に比べ、長時間保存できる理由を、その食品の水分と浸透圧の関係を用いて説明したいのですがわかりません。その理由を教えて下さい。


 食品の貯蔵に塩漬け、砂糖漬けや薫製、日干しを利用するのは食品の水分の減少により腐敗微生物の生育を抑えるためです。塩漬けや砂糖漬けでは食品の中の溶質(塩分、糖分など)濃度より食品の外の溶質濃度が高いため浸透圧が生じ、食品の中の水分が外に移動して食品内の水分が減少します。
半透膜(溶媒は通すが溶質は通さない膜)で隔てた二つの溶液の濃度に差があると、濃度を等しくしようと濃度の低い方から高い方へ溶媒を移動させる圧力差が生じます。この圧力差を浸透圧と呼び、濃度差が大きいほど大きな浸透圧が発生するため、塩や砂糖の濃度が高いほど多くの水が食品の外に出ます。純溶媒と濃度c (mol/l)の溶液の間に生じる浸透圧(p (bar))はp=cRTで表されます。但し、Rは気体定数、Tは絶対温度です。
日干しでは乾燥により食品の水分が減少します。薫製では薫煙中の種々の成分が微生物を死滅させたり、生育を抑えたりすると考えられますが、薫煙に先立つ塩漬けによる水分の減少も相乗的に作用していると考えられます。

浸透圧に関しては中高生の質問コーナーQ140も参考にしてください。

(FT) 2006/07/25 - 2020/01/24