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Q423★中高生からの質問Q374の回答の中に<「固体の水への溶解が吸熱反応(溶解熱が負)の場合、溶けて「安定」になるのに「必要なエネルギー」を熱として外から奪います。」という記載があります。> 「溶解熱が負である」ことは、「溶解すると、エネルギーが高くなり、不安定になる」ことだと思っています。 では、「その物質は、なぜ不安定になってでも溶けようとするのか」疑問を持ちました。 「不安定になるのだから、溶けない」ならわかるのですが、「エネルギーを得てでも、溶けて不安定な状態になろう」とする理由を教えてください。 固体が水に溶解する場合、発熱反応(溶解熱が正)になるか、それとも吸熱反応(溶解熱が負)になるかは、溶解プロセスにおける吸収エネルギーと放出エネルギーの大小によって決まります。 溶解プロセスにおける反応を式1)~3)に示します。 式1) 固体AB + 吸収エネルギー① → Aイオン(A+) + Bイオン(B-) 式2) 液体の水 + 吸収エネルギー② → プラス電荷を帯びた水分子(水分子+) + マイナス電荷を帯びた水分子(水分子-) 式3) 固体AB + 液体の水 → Aイオン(A+) に(水分子-)が溶媒和 + Bイオン(B-) に(水分子+)が溶媒和 + 放出エネルギー このとき、吸収エネルギーと放出エネルギーの大小関係により溶解熱が負になるか、正になるか、が決まります、 吸収エネルギー① + 吸収エネルギー② > 放出エネルギー : 吸熱反応(溶解熱が負) 吸収エネルギー① + 吸収エネルギー② < 放出エネルギー : 発熱反応(溶解熱が正) 吸熱反応(溶解熱が負)になる場合、AイオンとBイオンが電荷を帯びた水分子によって溶媒和するときに放出するエネルギーが、固体ABがイオンになるときに吸収するエネルギーと液体の水がプラス、マイナスの電荷を帯びた水分子になるときに吸収するエネルギーの合計(①+②)より小さくなります。したがって、「溶解熱が負である」ことは、「溶解するとエネルギーが高くなり、不安定になる」ことではありません。 高3 (YK) 2024/11/11 |