Q350★墨汁汚れの落とし方で炭石鹸と塩で洗うというものがあり、試してみたところよく落ちました。なぜですか?


墨はスス(炭素の粉)とニカワを混ぜて練り合わせてつくります。墨の黒色は炭素(スス)の細かい粒子によるものです。墨汁は墨を溶液状にした もので,天然由来のもの以外にも,化学合成された炭素と樹脂から作られる墨汁もあります。繊維に付着した墨の汚れを落とすには,タンパク質か らなるニカワを溶かすとともにススを取り除くことが重要です。石けんは,高級脂肪酸の塩(多くの場合ナトリウム塩)でできており,それは界面 活性剤として働き油成分やタンパク質成分を水に溶かします。
さて,炭石けんと塩の組み合わせですが,炭石けんに配合された炭は活性炭といっ て小さな孔が多数空いた構造を持っています。まず,界面活性剤と塩の効果でニカワを溶かし,同時に細かいススの粒子を活性炭の孔に取り込み, 洗い流すことで墨の汚れが落ちたのでしょう。また,塩は,研磨剤としても働きススを物理的に洗い流すことに効果があったと考えられます。

過去の質問への回答も参考にしてみてください。
中高生の質問コーナーのQ82Q152
小学生の質問コーナーQ99

(TN) 2014/09/01