Q82★墨を落とす事についての質問です。 (1)墨は「飯と洗剤」を混ぜたものでこするとだいぶ落ちました。なぜですか? (2)墨をつけてから、どれぐらい経ったら1番落ちるか調べたら、上の飯と洗剤を混ぜたものをのせて「1分」経ったときが1番落ちました。なぜですか? (3)布が違うと汚れの落ちかたも違うかと思って実験しました。綿と混合繊維(Y-シャツ)で調べたらどちらも違う落ちかたでよく落ちました。なぜ2つは違う落ちかたをしたのですか? (1) 墨が黒く見えるのは炭素の細かい粒子が含まれているからで,その意味では鉛筆とおなじです。小学生の質問コーナーQ16,とQ20に鉛筆のことがのっています。 墨は油を燃やしたときに生じるスス(非常に細かな炭素の粉で,目で見ても粒は見えません)と,ニカワを混ぜてよく練り合わせてつくります。炭素の粉は水をはじく性質がありますが,水となじみやすいニカワといっしょにすることで,ススの粒がニカワで取り囲まれ,水の中に散らばるようになります。最近では墨液とよばれる,瓶に入ったものをつかうことが多くなりましたが,成分はおなじです。 布に墨で字を書くと最初はニカワにとりかこまれたススが,繊維に付着していますが,洗濯をするにつれて,ニカワがだんだん溶けていき,ススだけが残るようになります。ただ繊維の奥の方までススの粒が入っていき,しっかりと布の繊維とくっついていますので,ススをなかなか取り除けません。 「飯」で墨の汚れを落とせるというのは,ちょうど鉛筆で書いた字などを消しゴムで消せるのとおなじで,ご飯の粒の中のデンプンが接着剤(糊)としてはたらき,奥の方まで入り込んだススの粒を吸い取ってくれるからでしょう。 また,洗剤が効いたのは,今回の実験ではニカワがまだ残っていますので,そのニカワを水に溶かすはたらきを示したものと考えられます。ニカワとはコラーゲンというタンパク質のことで,私たちの皮膚や骨などに含まれる成分とおなじです。 (2) 1分経ったときに1番落ちた理由については、詳しい条件がわかりませんので確かな回答はできませんが、ご飯粒と洗剤の成分が布の繊維の間ににしみこむ時間に関係しているのではないでしょうか? (3) 布による違いですが,綿はセルロースというものからできており,ニカワとくっつきやすい性質をもっています。これに対して,混合繊維はたぶん綿とポリエステルからできていると思いますが,ポリエステルはどちらかというとニカワとくっつきにくい繊維です。この差が汚れの落ち方に関係したのではないでしょうか。 (RN) 2004/08/29 - 2019/11/15 |