Q73★炭酸水、お酢、炭酸飲料で、魚の骨、貝殻を溶かす実験をしています。結果 魚の骨と貝殻がお酢と炭酸飲料に溶けました。なぜ、こういう結果となったのでしょうか?魚の骨、貝殻ができている成分との関係を考えていますが、手ごろな資料がみつかりません。調べることができる資料及び、なぜこういう結果となるのか教えてください。


最初に確認ですが,質問では「炭酸水、酢、炭酸飲料」の実験で「酢、炭酸飲料」で骨などが溶けたとなっていますが,炭酸水にも溶けませんでしたか?以下でくわしく説明しますが,炭酸飲料で結果は同様になると思われます。
さて,非常によいところに気がついたと思います。
まず,成分を知ることが一番です。貝殻の成分は,中学校の理科の教科書にも出てきていると思いますが,石灰石とおなじで,炭酸カルシウム(CaCO3)が主です。また,骨のほうは無機質とタンパク質などの有機質が組み合わさったものですが,無機質としてはヒドロキシアパタイトというカルシウムとリンとからできた物質が主として含まれています。ここまでは理科の教科書あるいは参考書にでていませんでしたか。
一方,炭酸水とお酢の成分ですが,これに関しても理科の教科書や技術家庭の教科書,保健体育の教科書に出ている可能性があります。
お酢の成分はいろいろありますが,主としてさく酸という酸を含んでいます。一方,炭酸水の成分の中で重要なものは炭酸(H2CO3)です(この実験の場合は炭酸飲料も甘みなどが加わっていますがおなじと考えます)。
石灰石が塩酸に溶けるということを小学校で習ったことはありませんか。あるいは,どこかで聞いたことがあるかも知れませんね。このとき,石灰石中のカルシウムが塩酸との反応によって,水の中にとけ出しています。これは習っていないと思いますが,Ca2+というイオンになっています。このような実験では石灰石とヒドロキシアパタイトとはおなじと考えて下さい。そうすると,どちらも酸によって溶かすことができるということになります。
さく酸は名前の通り酸性を示す物質です。また,炭酸もさく酸と同じように弱い酸ですが,酸にはちがいありません。したがって,炭酸水,お酢,炭酸飲料の中では魚の骨からも,貝殻からも,カルシウムイオンが溶け出します。
魚を唐揚げにして酢に漬けるという料理がありますが,こうすると魚を骨ごと食べることができるようになります。
このように化学的な物質の変化は私たちの生活の至る所に,それとは知らないあいだに利用されているのです。だから,たとえば理科(化学)で習った内容は,理科(化学)の勉強にしか役立たないのではないですし,その他の科目で習ったことも理科(化学)の学習に役に立つということを忘れないで下さい。

小学生のコーナーのQ24にも関連があります。

(RN) 2004/08/19 - 2019/11/15