Q143★この夏休みに10円玉の汚れを落とす実験をしてみました。コーラ・しょうゆ・マヨネーズ・ケチャップなどの調味料と、洗濯洗剤・台所洗剤・お風呂洗剤で試してみました。調味料に関しては、酸が有効に働くことが理解できたのですが、洗剤に関して謎が・・・。洗濯洗剤(弱アルカリ性)、台所洗剤(中性)、お風呂洗剤(中性)を使ったのですが、洗濯洗剤以外がピカピカになりました(特にお風呂洗剤)。中性と表示されているのですが、一体何が有効に作用したのでしょうか?

  
それはね…

10円玉は青銅(せいどう)という金属でできています。鉄がさびて赤くなるように、青銅もさびて赤黒い色に変わります。10円玉の汚れの原因はこの「さび」の他に「手あか(あぶら分やタンパク質など)」による汚れがあります。

酸で落とすことができる汚れは主に「さび」による汚れです。それに対して、洗剤は「手あか」の汚れを落とすことができます。では、中性の洗剤がどうやって「手あか」などのあぶら汚れを落とすことができるのでしょうか?

水とあぶらは混ざらないので、水でいくら洗ってもあぶら汚れをきれいにすることはできません。そこで石けんの出番です。石けんは「水になじみやすい部分」と「あぶらになじみやすい部分」の両方を持っています。そして、その「あぶらになじみやすい部分」があぶら汚れをくっつけることができるので、石けんを水で洗い流せばあぶら汚れも一緒に洗い流すことができます。この石けんのように「水になじみやすい部分」と「あぶらになじみやすい部分」の両方を持っているものを界面活性剤(かいめんかっせいざい)と言います。界面活性剤には石けん以外にも色々な種類があって、洗剤によって種類や量が違い、汚れの落ちやすさも違います。また、洗剤には界面活性剤の他に、界面活性剤の働きを助ける色々な成分が入っていて、それぞれの目的にあわせてその配合が工夫されています。

お風呂洗剤はあぶらを落とす力が大きいので、10円玉の汚れもよく落ちてピカピカになったのだと思います。お風呂洗剤のように強力なものを洗濯洗剤に使うと、洗っている服がいたんでしまったりするので、お風呂洗剤に比べると一般に優しい配合になっています。だから洗濯洗剤ではあまり汚れが落ちなかったのでしょう。また、洗濯用
洗剤は界面活性剤を含んだ水を服にすばやく染みこませる必要があるので、台所用洗剤やお風呂用洗剤とは配合が違っています。

洗剤の成分としては界面活性剤の他にも酵素(こうそ)といったものもあり、色々と調べて実験してみると、もっとおもしろい発見ができるかもしれません。ただし、洗剤によっては危険な成分が入っているものもあるので、必ずおうちの人と一緒に実験してください。

10円玉の汚れについては、小学生の質問コーナーQ12Q49Q122にも同じような質問があるので参考にしてください。


(TO) 2007/09/10