Q339★10円玉をキレイにする実験をしています。食品などで実験をして共通している事を見つけました。でも、食器用の洗剤・洗濯用の漂白剤・台所用漂白剤・トイレの洗剤で、キレイになる10円玉黒くなる10円玉があります。それがなぜ キレイにならずに黒っぽくなるのか、キレイになる物とが分かれるのがわかりません。


 まず,10円玉は,銅95%,亜鉛4-3%,すず1-2%からなる青銅と呼ばれる素材が使用されております.したがいまして,10円玉のほとんどを占める銅に限って説明します.
 10円玉は,使用して年月が経つとともに,10円玉の表面の銅に空気中の酸素が作用して酸化される(さびる)とともに,手あか(有機物)などの汚れが付着します.したがって,10円玉をキレイにするためには,まず,手あかなどの汚れを落とすことが必要です.
 中学生の質問コーナー (Q61, Q74, Q75, Q80, Q96) および小学生の質問コーナー(Q12, Q49, Q122, Q143)に10円玉の汚れとそれらの取り除き方について説明がありますので,参考にして下さい.
 質問では,キレイになる10円玉,黒くなる10円玉があるとのことですが,洗剤でキレイにする際に,表面についた手あか(有機物)などによる汚れの具合によってもキレイになり方に違いがでるので,手あか(有機物)などによる汚れの落とし方は上の質問コーナーを参考にしていただき,キレイになる,黒くなるに限ってお答えしたいと思います.
 空気中の酸素が銅に作用すると銅と酸素が結びついて別の物質ができます.これは一般にさびと呼んでいるものです.その時,むすびつき方の違いによって,赤色(酸化第一銅と呼びます)と黒色(酸化第二銅と呼びます)の二種類の物質ができるのですが10円玉の色から判断して,さびの成分としては,酸化第一銅の割合が多いのではないかと思われます.
 金属が酸素とむすびついた物質をよく溶かす洗剤には一般に酸という物質が含まれています.洗剤のラベルによく”酸性”などと書かれているのは酸が含まれていることを示します.このような洗剤で10円玉をあらうときれいになります.一方,漂白剤には,酸素との結びつきを促すような物質(酸化剤と呼びます)が含まれているものが多いです.酸化剤にはいろいろな名前の物質がありますが,たとえば次亜塩素酸ナトリウムという物質が入った漂白剤では,10円玉の色が黒くなります.これは酸化剤の効果によって銅が酸素と結びついて黒い酸化第二銅ができるためだと思われます.

(MM) 2011/08/22