Q303★飽和状態の砂糖水を凍らせたところ、竹串が刺さる程度の硬さしかありませんでした。(シャーベットのアイスに似ていた)これは、飽和状態の砂糖水だから軟らかいのですか? それとも、凍らせる時の温度がもっと低ければカチカチに凍ったのですか? 冷凍室は最高-21℃になりますが、砂糖水の他に8種類の液体も一緒に入れたので-21℃まで下がらなかったと思います。(-10~20℃の間?)


中高生の質問コーナーのQ8, Q9, Q77, Q87, Q134, Q154, Q204, Q221, Q239 小学生の質問コーナーのQ77, Q105 等に類似のことが書いてあるので見てくださいね。

 これは凝固点降下(ぎょうこてんこうか)という現象です。一般に、不揮発性の物質(今回の場合砂糖)をある溶媒(今回の場合水)に溶かすと溶媒の凝固点が低くなる現象のことです。すこし難しくなりますが、説明しておくと、凝固点降下の大きさは一般につぎの式に従います。




ΔT 凝固点降下の大きさ
m 溶質のモル濃度
M 溶媒の分子量
R 気体定数
Tf 溶媒の凝固点
ΔHf 溶媒の凝固熱(潜熱)


 一般に、特定の溶媒ではKfは定数となり、十分に希薄な溶液では、凝固点降下度は、溶質の種類にかかわらず、溶質のモル濃度mに比例します。

 こうした現象はしばしば自然現象でみられます。“霜が降りると野菜が甘くなる”と言われますが、これはまさにこの凝固点効果にあります。
 つまり、冬になると氷点下まで気温が下がる日が多くあります。ところで,生物の体には水分が多く含まれているので、0 ℃以下になれば凍るはずですが、実際は屋外の植物は凍ったりはしません。これは植物は冬になると細胞中の水分が凍らないように、デンプンを分解して多数のブドウ糖を増やすためです。この仕組みによって水の凝固点を下げ,0 ℃でも凍らないのです。

(TK) 2008/01/16 - 2020/01/24